
先日、井波別院 瑞泉寺で開催された「ナイトミュージアム」にて、彫刻師として解説を担当させていただきました。昼間の喧騒が消えた夜の境内。静寂の中で光に照らされた彫刻たちは、普段見せている表情とは全く異なる「凄み」を放っていました。今回は、作り手の視点から見たその日の夜の記録を綴りたいと思います。
解説中、私自身も思わず言葉を失う瞬間がありました。それは、下からの強いライトアップによって浮かび上がった「鑿(のみ)跡」と「奥行き」です。
井波彫刻の真骨頂である「透かし彫り」。昼間は全体像として美しく見えますが、夜の光はその奥にある影を強調します。
「ここまで深く鑿を入れるのか」
「この薄さでこれだけの強度を保っているのか」
影の濃淡が、かつての職人たちが命を削って彫り上げた立体感を、残酷なまでに鮮明に浮かび上がらせていました。
また、強い光は、木肌に残る一振り一振りの鑿跡を強調します。解説しながら間近で見つめると、当時の職人が一気に彫り進めたであろうスピード感や、一ミリの迷いもない刃先の流れが伝わってきました。それはまさに、数百年という時を超えた「技術の対話」のようでした。
当日は多くの方に足を運んでいただきました。
「こんなに中まで細工がされているなんて!」
「夜に見ると、龍が本当に動き出しそうですね」
そんな驚きの声を聞くたびに、改めて井波の宝に誇りを感じてくださっていることを実感し、私自身も嬉しく思いました。
先人の超絶技巧を改めて目の当たりにし、改めて身が引き締まる思いです。
「見えないところまで手を抜かない」「光と影を計算し尽くした立体感」。
今回の解説を通じて得た気づきを、これからの自分の作品作りにどう昇華させていくか。夜の瑞泉寺に並んだ彫刻たちに、大きな宿題をもらったような気がします。
ご来場いただいた皆様、そしてこの貴重な機会をくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。




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