私が木彫の仕事を選んだきっかけは高校生の時にテレビでみた井波彫刻のドキュメンタリー番組です。彫刻が欄間の注文を受け納品までの様子を追った内容で、井波彫刻の欄間の彫刻の技術はもちろんですが、直接お客様から注文をもらい、図案を描き、材料選び、木彫制作、納品まで全てを彫刻師がするという所に魅力を感じました。お客様と相談し合いながら自分の技術一つで制作し、お客様の喜ぶ様子が見る事ができる仕事、その当時の自己肯定感が低かった自分には響きました。
高校卒業後4月から井波彫刻師への弟子入りが決まり、はやる気持ちを抑えられずスケッチブックを買い絵の練習や作ってみたい木彫作品の図案を描いていました。

高校時に描いた朝顔の図案
4月より井波での弟子入り生活が始まりました。弟子の最初の仕事は自分が一生使う彫刻刀の柄を仕込む事です。出来合いの彫刻刀では無く、彫刻刀の金の部分を60本程買い、角材にドリルで穴を開け金の部分を差し込み、鉋で角を落とし自分の手に馴染む太さに調節します。それが終わるとそれぞれ形が違う彫刻刀の刃先を研いでいきます。すべの彫刻刀が完成するのに3ヶ月程かかりました。それから本格的に自分の道具を使い、親方の仕事を手伝いながら技術を身につけていきます。
井波には当時、職業訓練校があり、親方のもとで仕事を手伝いながら週1回訓練校でデッサンや実技を学びます。11月初めに訓練校展という訓練校生を対象にした展示会があり、訓練生が日頃の成果を発表します。私は井波に来る前に描いた朝顔の図案の透かしのパネルを出品しました。彫刻を習ってから実質3ヶ月程でしたが、イメージ通りに完成し1年生ながら奨励賞を受賞できました。

処女作は今も実家に飾っています。その後も訓練校展を自分の頑張りのバロメーターにして5年連続で入賞する事ができました。



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