木彫が初心者の方は、なにからはじめてよいかわからないという方も多いと思います。木彫にはまず道具が必要です。彫刻刀だけでなく、砥石などお手入れ道具もそろえないといけません。また、万力などの治具もあれば便利です。私は木彫の伝統工芸師に弟子入りしていきなりプロを目指しましたが、先ずは近くの木彫教室を利用して基本を覚えるのがおすすめです。道具の種類や使い方の注意点などをお教えします。
木彫りが初心者の方は、なにからはじめてよいかわからないという方も多いでしょう。木彫りはまず道具が必要ですが、彫刻刀だけでなく、砥石などお手入れ道具もそろえないといけません。もしどうしても不安であれば、教室を利用して基本を覚えるのがおすすめです。道具の使い方の注意点なども確認しておきましょう。
木彫りをはじめるなら、最低限必要な道具があります。最初から色んな種類の道具を揃える必要はありません。自分がこれからどの様なものを作りたいかを考え道具選びをしましょう。初心者が最初に用意するものには、「彫刻刀」「彫刻用木材」などがあります。とくに木材は初心者向きのものでないと、硬かったり、杢目がクセがありうまく彫れないこともあるため注意が必要です。大まかに形を出す時には荒彫り用のノミや金槌、木槌もあれば、作業が無理なく進みます。また刀物は使っていくうちに切れ味が落ちてくるので、砥石や研磨機を用意しておくのがおすすめです。自分で研げない場合は研いてメンテナンスしてくれる彫刻刀屋さんもあります。
彫刻刀選びの注意点
彫刻刀は切れ味も大切ですが、どんな木彫り作品を作るかで選び方も違って来ます。
仏像の彫刻セットや動物の彫刻セットも販売されていますので、それを参考に先ずはどんな作品を作り上げるのかで、彫刻刀を選びましょう。私が使用する彫刻は1本が数千円から1万円を超える彫刻刀を使用していますが、しかし初心者なら1本700円から1,000円くらいの彫刻刀からで良いと思います。本格的に仕事をしたいと思ったら、高いものに変えてみる感じで良いと思います。
彫刻材料の選び方
木彫初心者はまだ彫刻刀で彫るのに慣れていないため、彫りやすい木材を選びましょう。木材は種類によって硬いものもあれば、やわらかいものもあります。硬い材料ですと、力が必要ですし、刃こぼれしやすいです。逆に柔らか過ぎる材料ですと、力はさほど必要なくなりますが、木材と刃先の摩擦が大きく直ぐに刃物の切れ味が鈍くなってしまいます。当工房では粘りがあり、割れにくいクス材、杢目が細かく仕上がりがきれいな木曽ヒノキ材を初心者の方にはおすすめしております。
下図はまずは真似からでもOKです
彫刻材を選んだら、なにを彫刻するか下図を描く作業が必要になります。初めは下図は既存のにイラストを使いコピーしてもよいです。木彫のプロを目指すのでしたら絵から学ぶ必要がありますが、初心者で絵に自信がない方は、まずは模倣してみると良いでしょう。今はインターネットからイラストをダウンロードできるので、彫刻材のサイズに合わせて拡大や縮小をして直ぐに取り掛かれます。彫刻材に下図を写すときにはカーボン紙を使います。
木彫制作時の注意点
いよいよ彫刻刀で彫って行く事になりますが、実際に彫りはじめると、彫刻材によってはクセがあることがわかります。杢目には順目と逆目があり、初心者はなるべく順目に彫り進めましょう。順目は削りやすくきれいに彫れます、逆目は刃が引っ掛った感じになりやすいです。木材を見てすぐに順目かどうかわかるには経験が必要です。また、初めのうちは木口面(道管が見える面)は硬く彫刻しにくいと感じると思います。
彫刻の研磨
彫刻刀やノミは使っていくうちに切れ味が鈍くなります。切れ味が鈍くなると余計な力が入って怪我のもとにもなります。切れ味が鈍る前に刃先を研いで、常に最適の状態で彫りましょう。砥石や彫刻刀は水をつけたままだと錆びてしまいます。必ず水気を拭きましょう。砥石を安定させる台が必要ですが、ない場合は濡れ雑巾の上に置いても安定します。研ぐ時に水を使用するのは摩擦で高熱になるからです。必ず水を使うようにしましょう。
研ぎの手順
砥石を水で濡らし次に平行に刀を移動させて角度を動かさずゆっくり砥ぐのがポイントです。刀の表を研ぎ終えたら、裏の刃を指の腹でなでてみます。このとき、刃の先がめくれているようなら、仕上げ砥石を使い「かえり刃」を直します。中砥1000番ほどの茶色い砥石で研ぎ、仕上げ砥石でさらに研磨しています。
彫刻刀は何を買ったら良い?
彫刻刀はいろいろ種類、サイズがあります。初心者は初心者用のスターターキットの様なものを購入するのをおすすめします。良く使うであろう彫刻刀がセットになっているので、便利です。基本となる彫刻刀を用意し、それぞれの彫り具合の違いを確認しておきましょう。
主な彫刻刀の種類
三角刀
Vの字になっていて輪郭や溝を彫るのに便利です。角度にも色々ありますが、一般的な三角刀は60度です。
平刀
刃先が平たく広い面を薄く削るときや凸凹を整えるときに使います。研ぐ角度を変えることで彫り味も簡単に変えられます。
丸刀
断面がUの字になっていて凹面を削るのに最適で、使用頻度は高いです。丸刀には「極浅丸」「中浅丸」「並丸」「深丸」などの種類があります。
切出し小刀
平刀が斜めになった様な彫刻刀で輪郭を突いて使ったりします。
どの種類の彫刻刀の使い方にも共通で言えますが、彫刻刀は切断するイメージでは無く、刃先を撫でるように横にスライドさせるイメージで彫りましょう。
まとめ
木彫初心者が知っておくべき注意する点など、簡単にまとめてみましたが、木彫は基本が肝心ですが、独学だと難しい子供もあると思います。その様な場合は近くの木彫教室を利用して、基礎を学ぶのも良いと思います。
当工房では木彫教室はしておりませんが、ご相談があればご気軽にお問い合わせ下さい。
富山県南砺市のお近くの方は井波彫刻師から学べる井波彫刻塾がありますのでこちらで経験を積むのをお勧め致します。